白米だけではない—アジアの豊かな全粒穀物の伝統

私たち日本人にとって、白米は日常の食卓に欠かせないものです。しかし、アジア全域を見渡すと、白米だけでなく、様々な全粒穀物が古くから人々の健康を支えてきた歴史があることをご存知でしょうか。

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色付きの米—皇帝だけの贅沢

日本では玄米が健康食として見直されていますが、中国では黒米に興味深い歴史があります。明王朝時代、黒米は「貢米」または「長寿米」と呼ばれ、皇帝の健康と長寿のために皇帝専用に確保されていました。一般庶民は食べることを禁じられていたため、今日でも「禁断の米(Forbidden Rice)」と呼ばれています。実は、アジアの多くの地域で、1800年代後半に鋼鉄製ローラー精米機が普及するまで、人々は玄米やその他の全粒穀物を食べるのが普通でした。

キビ(粟)—米より古い主食

約7,000年前、アジアでは米よりもキビが主要な穀物でした。驚くことに、中国では小麦が使われる前、麺はキビで作られていました。考古学者は4,000年前のキビの麺の碗を発掘しており、これは世界最古の麺の例です。インドでも、1960年代に米と小麦が主流になるまで、キビが主食でした。現在、インドではキビが栄養と食料安全保障の観点から再評価され、2013年以降は国の食料支援プログラムにも組み込まれています。

私たちの蕎麦—世界が注目する全粒穀物

日本の伝統食である蕎麦は、そば粉という全粒穀物から作られています。シンプルに冷やしてつけ汁で、または温かいだし汁で食べる蕎麦は、そば粉の繊細な風味を楽しむ料理です。この日本の伝統食は、今やアメリカでも健康的な食事として注目され、多くのレストランメニューに登場するようになっています。

インドの全粒小麦—チャパティ(ロティ)

日本でもインド料理店が増え、ナンが人気ですが、インドの家庭では全粒デュラム小麦粉(アッタ)で作られたチャパティ(ロティ)が日常的に食べられています。無発酵のフラットブレッドで、スパイシーなカレーに最適です。インドで製粉される小麦粉の60%が全粒小麦粉というのは驚くべき数字です。

アジア全域で進む全粒穀物の見直し

フィリピンではRICEponsibility(コメに責任を)という呼びかけの元に、白米の代わりに玄米を選ぶよう呼びかけられ、シンガポールの屋台では、玄米と全粒穀物の麺を中心に提供されるようになっています。中国でも、栄養専門家や業界リーダーが全粒穀物への回帰の必要性を訴えています。

私たち日本人は玄米や蕎麦という全粒穀物の伝統を持っていますが、アジアの他の国々にも豊かな全粒穀物の文化があります。健康を考えるとき、アジア全体に根付く全粒穀物の知恵を見直してみてはいかがでしょうか。何世紀にもわたる食の知恵は、私たちの健康を支える確かな指針となるはずです。

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